“スポーツ栄養コラム”第9回「スポーツ選手の競技力を支えるたんぱく質のはたらき」

私たちの体は、約10万種類ものたんぱく質で構成されています。

たんぱく質は私たちの体内でどのようなはたらきを持ち、またどのようにしてスポーツ活動を支えているのでしょうか。

 

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今回は、たんぱく質の機能とその重要性についてお伝えします。

 

1.たんぱく質は筋肉を大きくするために必要


たんぱく質は「アミノ酸」が多数結合した高分子の化合物です。

ヒトの体のたんぱく質を構成するアミノ酸は20種類あり、

その種類や量、組み合わせによって性質やはたらきの異なるたんぱく質がつくられます。

 

そのたんぱく質は、私たちの身体の骨格や筋肉、皮膚、毛髪、爪、内臓などあらゆる組織を構成する材料となります。

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筋肉の中でも、身体を動かすときに使われる「骨格筋」は、アクチンとミオシンというたんぱく質からなります。

スポーツ選手は筋肉を大きくするために日々トレーニングに励んでいると思いますが、

普段の食生活でたんぱく質の摂取が不足していると、なかなか思うように筋肉が大きくなっていきません。

トレーニングの成果を十分に得るためにも、普段の食生活からたんぱく質が不足しない食習慣を身につけることが大切です。

 

2.たんぱく質でケガの予防!?


たんぱく質=筋肉、カルシウム=骨のイメージが強いと思いますが、たんぱく質は実は骨の材料にもなっています。

 

骨は、「コラーゲン」とよばれるたんぱく質が骨の基礎構造部分となり、そこにカルシウムが沈着してできています。

ビルなどの建物で例えると、鉄筋がたんぱく質で、その周りを固めるコンクリートがカルシウムといったイメージです。

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カルシウムが十分に摂取できていて「硬い」骨であったとしても、

たんぱく質が不足しているとコラーゲンの強度が低く「もろい」骨になっているため、スポーツ時に強い外的な力が加わると折れやすくなります。

 

「硬くて強い骨」をつくるためにも、たんぱく質は重要なのです。

 

3.たんぱく質の不足が貧血の原因に!?


赤血球中のヘモグロビンという血液成分は、「ヘム」という鉄を含んだ部分と「グロビン」とよばれるたんぱく質が結合してできています。

貧血時には鉄を補給しよう!と言われる所以はここにあるのですが、当然ヘモグロビンの構造の一端を担うたんぱく質についても不足がないかチェックしておく必要があります。

特に、鉄を補給しても貧血改善の兆しが見えない場合には、たんぱく質の不足についても疑う必要が出てきます。

 

4.エネルギー源は糖質と脂質だけではない!


 

エネルギー源になる栄養素と言われると糖質と脂質が思い浮かびます。

しかし、たんぱく質も実はエネルギー源として利用されるのです。

 

その利用率は糖質や脂質に比べると非常に少ないのですが、

運動時のような速やかなエネルギー利用が必要になる際には、たんぱく質が分解されて分岐鎖アミノ酸(バリン、ロイシン、イソロイシン;BCAA)となり、筋肉の直接のエネルギー源としてはたらきます。


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このように、たんぱく質は筋肉の材料としてだけでなく、骨の材料、赤血球の材料、エネルギー源としてなど、様々な役割を持ってスポーツ活動を支えています。

 

大きな筋肉をつくるため、硬くて強い骨をつくるため、バテない身体をつくるためにも、たんぱく質を十分に含んだ食習慣を身につけていきましょう。

 

次回の更新は2016年8月1日を予定しています。更新をお楽しみに!

 

 

管理栄養士 プロフィール

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安藤大貴(あんどうひろき) 1989年9月5日生まれ
愛知県出身。至学館大学健康科学研究所特別研究員/至学館大学スポーツ栄養サポートチーム所属
管理栄養士
至学館大学大学院健康科学研究科修士課程を修了後、管理栄養士として活動。
主に野球競技者を中心に競技力向上を目的とした食育活動に取り組む。
またその傍ら、スポーツ栄養学の視点から野球競技者の競技力向上に関する研究活動も行う。
スポーツ栄養サポートを通じた野球選手の身体づくりやコンディショニング、ケガ予防を専門とする。